論文紹介(5) HIV陽性者との性的意思決定における「Undetectable=Untransmittable(U=U)」認知と社会的近接性の複合的関連
当研究班の調査結果が英文論文誌に掲載されました。
公開日:2026年2月11日
本ページでは、その日本語サマリー(要旨)を紹介します。
原文(英語)は、こちらをご覧ください。
Joint Associations of Undetectable=Untransmittable Awareness and Social Proximity with Sexual Decision-Making With People Living With HIV: A Cross-Sectional Study in Japan
HIV陽性者との性的意思決定における「Undetectable=Untransmittable(U=U)」認知と社会的近接性の複合的関連
三輪岳史、Carol Strong、Stephane Wen-Wei Ku、Chia-Wen Li、Poyao Huang、Huei-Jiuan Wu、若林チヒロ、山口正純、生島嗣
「Undetectable=Untransmittable(U=U)」のメッセージは日本において徐々に認知が高まりつつあるが、その影響については、HIV陽性者(PLWH)との社会的近接性と併せた観点からは十分に明らかにされていない。本研究は、U=Uの認知とPLWHとの社会的近接性の組み合わせが、PLWHとの性行為に対する態度と関連するかを検討することを目的とした。
2022年11月から2023年1月にかけて、主にゲイ向け出会い系アプリを通じてオンライン調査を実施した。参加者は、U=Uの認知およびHIV陽性者の友人の有無に基づき、4群に分類した。ポアソン回帰分析(ロバスト分散推定)を用いて、潜在的な性的パートナーがHIV陽性であると知った場合に、性行為の意思決定に「影響がない」または「ほとんど影響がない」と回答することとの関連を検討した。
解析対象は、HIV陰性/不明の男性と性交渉を行うシスジェンダー男性やノンバイナリー等4,715名(年齢中央値:36歳、四分位範囲:29–46)であり、3分の2以上がU=Uを認知していた。全体の内訳は、U=U認知もHIV陽性者の友人もいない者が26.5%、U=U認知のみ有する者が52.5%、友人のみ有する者が3.1%、両方を有する者が17.9%であった。全体の8.3%が、潜在的な性的パートナーのHIV陽性ステータスが性行為の意思決定に「影響がない」または「ほとんど影響がない」と回答した。
いずれの要因も有さない群と比較して、U=U認知とHIV陽性者の友人の両方を有する群では、受容的な態度との強い関連が認められた(調整割合比[aPR]4.53、95%信頼区間[CI]3.24–6.32)。また、HIV陽性者の友人を有すること単独でも有意な関連が認められた一方で、U=U認知のみでは有意な関連は認められなかった。U=Uの普及促進に加え、PLWHとの有意義な相互交流の機会を促進することが、性的文脈におけるスティグマの軽減に寄与する可能性が示唆された。
<span style=”font-weight: 400;”>※本研究は令和3~5年度厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策政策研究事業)「地域におけるMSMのHIV感染・薬物使用予防策と支援策の研究班」の一環で実施した。